【片方の膝だけが痛い〜歩いた時の痛み〜】

【膝の痛み〜歩いた時の膝痛〜】

最近来られた患者様の症状をご紹介します。

70代の女性の方で、

歩いた時に左の膝(ひざ)に痛みが出る。

右の膝に痛みはなく、

片方だけが痛みがある。

電車に乗って遠出をする事が好きだったが、

歩くのが億劫になってしまい楽しい事がない。

という訴えがありました。

 

なぜ、左の膝(ひざ)のみに

痛みが出ているのか?

について解説をしていきます。

 

まず初めに膝関節の構造から

説明したいと思います。

 

膝関節とは、

太ももの骨(大腿骨)と

すねの骨(脛骨)と

膝のお皿(膝蓋骨)で

構成されています。

大腿と脛骨をつなぐ関節には

線維軟骨性の関節半月(半月板)があります。

この半月板により関節の適合性を高め、

衝撃を緩衝しています。

膝蓋骨と大腿骨をつなぐ関節は

膝の曲げ伸ばしにかかわっています。

関節の外には

内側側副靱帯と

外側側副靱帯という靭帯があり、

関節内には

前十字靭帯と後十字靭帯があります。

それらは、膝がぐらつかないための

【安定性】だけでなく

【運動の制御】も行っています。

 

さらに膝蓋靱帯や腸脛靱帯、

鵞足に付着する筋肉

(半腱様筋、薄筋、縫工筋)などが

膝関節周囲を補強しており、

関節の安定性を保つために関節半月や靱帯、

筋肉などの軟部組織に依存している関節です。

また、

膝(ひざ)は上下に

【足首】と【股関節】があり、

その2つの関節の動きが悪いと間にある

【膝関節】に負担がかかってしまいます。

その負担が痛みとして出てくる事が多くあります。

 

本題に戻りまして、

歩く時の動き(歩行動作)は簡単そうにみえて、関節や筋肉がとても複雑に動きます。

『骨盤の回旋』

『股関節の屈曲・伸展』

『膝関節の屈曲・伸展』

『足関節の屈曲・伸展』

など挙げればキリが無いほど複雑な動きが重なり合って【歩く】という動きを行っています。

また、私たちは重力の中で生活しているので

関節には常に負担(ストレス)

がかかっています。

真っ直ぐに体重がかかっていれば

痛みが出ることは少ないのですが、

骨盤の歪みや足首の動きが正常でないと、

歩行時にうまくストレスを

分散させることができなくなってしまい

痛みが出てきてしまいます。

 

今回の患者様の場合、

骨盤に歪みがある

(左の骨盤が前に出ている状態)

になっています。

それに加えて

左太もも前の【大腿四頭筋】に硬さがあり、

股関節がうまく伸びない歩き方をしています。

これらの原因によって、

左の膝(ひざ)のみに

痛みが出てしまっています。

痛みが出ているのは左膝関節ですが、

原因は『骨盤や大腿部前面の硬さ】

になっています。

 

【痛みが出ている部分=悪い】

 

のではなく別の部分の歪みや筋肉の硬さが、

痛みにつながっていることが多いです。

 

では、どのように治療をしていくのか??

 

まずは筋肉の硬さ

(股関節や足首に柔軟性をつける事)

を取っていきます。

うつ伏せの状態で膝を曲げていきます。

すると、

膝の角度が90度を少し超えたあたりで

太もも前に強いツッパリ感がありました。

正常と言われるのは、

膝を曲げたときに

踵(かかと)とお尻が付くことです。

太もも前面の筋肉の柔軟性を高めていく事

が最も重要になってきます。

トリガーポイント治療やストレッチ、

特殊な電気(高周波治療器)を使って

治療をしていくことで

筋肉が徐々に柔らかくなっていきます。

長い年月をかけて

大腿四頭筋(太もも前)が硬くなってしまっていたので、すぐに柔軟性を高めることは難しいです。

【ダイエットも1日しただけでは変わらないのと同じです!】

その為、

自宅で簡単に出来るセルフケアも

お伝えさせていただいて

それを実践してくだされば

どんどん柔らかくなってきています。

この患者様は1ヶ月で

踵(かかと)とお尻が付くくらいまで

柔らかくなりました。

 

次は骨盤の歪みに注目していきます。

左の骨盤が前に出てしまっている原因は、

【左側の大腿筋膜張筋】

という骨盤の前にある筋肉が硬くなること

に加え、

【右側の梨状筋】という筋肉が硬くなること

で骨盤がずれていき、

いわゆる【骨盤の歪み】がうまれてしまいます。

 

【大腿筋膜張筋】

腸骨(骨盤)の上前腸骨棘というところから腸脛靱帯を介して脛骨上端につく筋肉です。

作用は股関節の屈曲と膝の伸展です。

骨盤から脛骨のところまでつく長い筋肉になっています。

【梨状筋】

仙骨前面から大腿骨の大転子のところについてます。

主な作用は股関節の外旋です。

 

この2つの筋肉に対して治療をしていくことで、

骨盤のバランスが整っていきます。

治療後、

骨盤のバランスが整った状態で

歩いてもらうと膝(ひざ)の痛みは

軽減して歩けるようになっていました。

脳に正常な位置(正しい姿勢)を

覚えこます事が出来れば、

以前と同様の生活をしていても

勝手に正常な位置に戻っていきます。

それが【マッスルメモリー】【形状記憶】

と呼ばれる体に起こる現象です。

そこまで到達すれば、

この方は普段の歩行でも痛みがなく

生活が出来るようになります!

歩いたときの膝の痛みは

様々な場所(骨盤・股関節・膝関節・足関節・上半身バランスなど)

に原因があることが多いです。

その為、初期段階で詳しく体の検査をしていくことが大事になっています。

 

【当院の治療流れ】

当院では問診・検査に時間をかけます!

そこで痛み原因を明確にします。

最初が肝心だと考えているからです。

問診から得た情報を元に

患者様にあった治療法を提供させて頂きます。

来院頻度やセルフケアまで

こちらからご提案し、

患者様の早期治療を目指しています。

執筆者:鍼灸師 東新町整骨院あまみ院 芝崎拓実

皆様が今以上に楽に生活を送って頂けるように、痛みや不調の根本的な原因を改善するための知識・技術を日々追及しています。日常生活での使い方のクセや仕事やスポーツなどでの身体の使い方など、ご自身では気付けていない痛みや不調の元となる悪い習慣を改善できるように、身体の使い方や普段からできる筋トレやストレッチなどもアドバイスさせていただきます。

東新町整骨院 あまみ院